ギリシャ列車正面衝突事故

座標: 北緯39度50分54秒 東経22度31分00秒 / 北緯39.84833度 東経22.51667度 / 39.84833; 22.51667ギリシャ列車正面衝突事故（ギリシャれっしゃしょうめんしょうとつじこ）は2023年2月28日にギリシャ中部の町、(テンピ)（英語版）近郊で旅客列車と貨物列車が正面衝突した鉄道事故である^[4]。ギリシャで発生した鉄道事故としては史上最悪である^[5]。

ギリシャ列車正面衝突事故
ヘレニック・トレイン120形電気機関車とシーメンス・ヴィアッジオUIC Z1客車数両
発生日	2023年2月28日 (2023-02-28)^[1]
発生時刻	23:21 EET (21:21 UTC)^[1]
国	ギリシャ
場所	テッサリア・ラリサ県・テンピ
路線	(アテネ・テッサロニキ本線)
運行者	(Hellenic Train)
事故種類	正面衝突
原因	調査中（ヒューマンエラー、人手不足、信号機の故障、施設の老朽化^[2]）
統計
死者	少なくとも57人^[3]
負傷者	少なくとも130人（重傷25人含む）^[1]
(テンプレートを表示)

概要

乗員乗客約352人が乗車していたIC62旅客列車は首都アテネを午後7時30分頃（EET）に出発し、北部にある第二の都市テッサロニキに向けて走行中、午後11時21分頃にラリサ近郊のテンピ付近でテッサロニキからラリサ市へ向かっていた貨物列車と衝突した^[5]。旅客列車の先頭4両が脱線し、1両目と2両目では火災が発生した^[2]。少なくとも乗客ら57人が死亡し、130人が負傷した。犠牲者の中には大学生や子供も含まれていた^[6][7]。

対応

現場では夜通し、救助隊による救出作業が続いた。消防によると、消防士約150人と救急車40台が出動した^[8]。

事故当時は電気システムが動いておらず、駅員らが手動で列車の運行管理を行っていたとの情報もあり、現地当局の警察はラリサ駅の駅長を逮捕し事情を聞いている^[7]。また、事情聴取のため他に2人が拘束された^[9]。

同年3月1日には、キリアコス・ミツォタキス同国首相が視察に訪れ、3月3日にはコスタス・カラマンリス運輸相が辞任した^[2][10]。政府は事故原因の徹底救命や鉄道設備の老朽化問題への対処を確約する一方で、鉄道労働組合は3月2日に事故を受けてストライキし、全国で列車の運行を停止、首都アテネでは2000人規模の(抗議デモ)（英語版）が行われた^[3]。5日にもアテネで学生や鉄道職員らによる大規模なデモが敢行され、1万人ほどが参加したと報じられている^[11]。政府の鉄道施策を批判するデモ隊は、国会議事堂周辺で一部暴徒化し、警察と衝突する事態となった^[11][12]。

事故を受け、バチカン市国の教皇フランシスコはギリシャのカトリック司教協議会会長宛に追悼の意を表する電報を^[13]、中国の習近平国家主席はカテリナ・サケラロプル大統領宛に見舞いの電報を^[14]それぞれ送り、サウジアラビアのサルマン国王とムハンマド・ビン・サルマーン皇太子は弔電を送った^[15]。

脚注

[脚注の使い方]

1. ^ ^{a b c} “” (英語). en:BNO News (2023年2月28日). 2023年3月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月5日閲覧。
2. ^ ^{a b c} “ギリシャ首相、列車衝突事故の原因は「人為的ミス」 死者43人に”. BBCニュース (2023年3月2日). 2023年3月5日閲覧。
3. ^ ^{a b} ギリシャ列車事故、死者57人に　アテネでは抗議活動ロイター通信、2023年3月3日。2023年3月5日閲覧。
4. ^ 日本放送協会 (2023年3月1日). “ギリシャ中部 列車どうしが正面衝突 32人死亡 85人けが | NHK”. NHKニュース. 2023年3月1日閲覧。
5. ^ ^{a b} Greece train crash leaves dozens deadドイチェ・ヴェレ、2023年3月1日。2023年3月5日閲覧。
6. ^ 「ギリシャ列車事故、死者57人に　アテネでは抗議活動」『ロイター』、2023年3月3日。2023年3月8日閲覧。
7. ^ ^{a b} “ギリシャ列車事故、死者40人に　正面衝突か、多数の大学生が乗車”. 朝日新聞デジタル (2023年3月1日). 2023年3月1日閲覧。
8. ^ 「ギリシャ北部で列車が正面衝突、少なくとも32人死亡」『BBCニュース』、2023年3月1日。2023年3月5日閲覧。
9. ^ Train crash in Greece kills at least 43 people and leaves scores more injured as station master arrestedCBS NEWS、2023年3月1日。2023年3月5日閲覧。
10. ^ “ギリシャ衝突事故 運行責任者を逮捕 運輸相は辞任”. MSN (2023年3月2日). 2023年3月5日閲覧。
11. ^ ^{a b} 「ギリシャ列車事故で死者57人に　大規模抗議デモが一部暴徒化」『TBS NEWS DIG』、2023年3月6日。2023年3月6日閲覧。
12. ^ 「列車衝突で抗議デモ続く、首相謝罪でも収まらず　ギリシャ」『CNN』、2023年3月6日。2023年3月6日閲覧。
13. ^ 教皇、ギリシャ列車事故の犠牲者のために祈りVatican News、2023年3月1日。2023年3月5日閲覧。
14. ^ ギリシャ列車事故、習近平国家主席がサケラロプル大統領に見舞い電報人民網日本語版、2023年3月2日。2023年3月5日閲覧。
15. ^ サウジアラビア首脳、ギリシャの列車死傷事故に哀悼の意を示すArab News、2023年3月2日。2023年3月5日閲覧。