キスワ(アラビア語で、كسوة)は、マッカにあるカアバを包む黒い布のことである。巡礼の月と呼ばれるイスラーム暦第12月の間は、常に、カアバを包んでいる。
役割と歴史
キスワの役割は、ユダヤ人の契約の箱(サムエル記下第6章第17節)の天幕と同様の神聖な天幕の痕跡を表すものとされる[1]。
クライシュ族がムハンマドとムスリムを弾圧していた時代、当時、クライシュ族がカアバにキスワを飾っていたが、彼ら[誰?]はクライシュ族の行動に賛同することがなかった。630年、マッカがイスラーム勢力の手に落ちると、ムハンマドは、クライシュ族の手によって飾られていたキスワを燃やし、そのあとに、イエメン産の白い布をカアバに飾った。このことが、イスラームにおけるキスワの始まりである。
ムハンマド没後も、キスワを飾る風習は続けられた。ウマイヤ朝を創始したムアーウィヤは、1年に2回、キスワを新たなものにしたとされる。
アッバース朝の時代に、現在のように1年に1度、カアバを黒い布で包むようになったとされる。
脚注
- ^ シーラ・S・ブレア、ジョナサン・E・ブルーム 「美術と建築」 (ジョン・エスポジト編、坂井定雄監修『イスラームの歴史』第1巻第5章 p.291)共同通信社、2005