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ウィルソン (コミック)

ウィルソン』(原題: Wilson)とはアメリカ人漫画家ダニエル・クロウズによるグラフィックノベルである。2010年に(ドローン&クォーターリー)(英語版)から刊行され、2015年には中沢俊介の翻訳によりプレスポップ社から日本語版が刊行された。

Wilson
発売日2010
ページ数80ページ
出版社(ドローン&クォーターリー)
制作陣
年表
前作(アイス・ヘイヴン)(英語版)
次作(ミスター・ワンダフル)()

厭世家の主人公ウィルソンを皮肉に描いた作品である。各1ページの短編ギャグ70編から構成されているが、それらは連続した場面を描いたものではなく、ページの間で数日から数年の時間が経つこともある。クロウズは「読者が想像する、ページとページの間で起こったことが本当のストーリーだ」と述べている[1]。ぶしつけで横柄な人物であるウィルソンは、辟易するような不平不満を誰彼構わず言い募り、会ったばかりであっても、迷惑がられるのも意に介さない[2]。ウィルソンはオークランド在住の離婚経験のある中年男性で、自分が孤独な独善者であり過去に捕らわれていたことに気づくことになる[3]

概要

絵柄は短編一編ごとに異なっており、クロウズおなじみの簡素な画風もあれば、より誇張の効いたカートゥーン的な描き方にもなる[2][4]。ストーリーは1ページずつのセグメントに分けられ、それぞれ独立して読むこともできるが、全体として一つの物語にもなっている[5]

本書は厚手で重さのある紙に印刷された[4]。過去作『ゴーストワールド』や『(デイヴィッド・ボーリング)(英語版)』が個人誌『(エイトボール)(英語版)』の連載が初出だったのと異なり、クロウズ初の書下ろし本である[3]

『ウィルソン』の着想の元になったのは、末期状態で入院していた父親とともに過ごしたことと、チャールズ・シュルツの伝記を読んだことだった。クロウズによると父親とシュルツは外見的にも人格的にも色々な点で似ていたという。クロウズは病院にスケッチブックを持参し、『ウィルソン』の構想と、後に作品の一部となる1ページ漫画数編のアイディアを得た[4]。クロウズは後に、主人公ウィルソンを「どんなシチュエーションに置いても大丈夫で、ただ彼が言いたいことに耳を傾ければ何を書いたらいいかわかる」と評した[1]

本作はクロウズが脚本を書く条件でアレクサンダー・ペイン監督との間に映画化(オプション契約)(英語版)が結ばれた[5]。しかしペインは2014年のインタビューでプロジェクトから降りたと発言した[6]。映画化企画はフォックス・サーチライトに引き継がれ、クレイグ・ジョンソン監督によって2015年の夏にミネソタ州ミネアポリス・セントポールで撮影が行われた[7]。主役ウィルソンはウディ・ハレルソンが演じた。映画版『ウィルソン』は2017年に公開された[8]

脚注

  1. ^ a b McKittrick (2017年3月23日). “Wilson: A Walking Id”. Creative Screenwriting. 2019年10月26日閲覧。
  2. ^ a b Weldon 2010.
  3. ^ a b Lipsyte 2010.
  4. ^ a b c Hartlaub 2010.
  5. ^ a b CBR News 2011.
  6. ^ Neumyer, Scott (24 February 2014). “Nebraska Director Alexander Payne Talks Bruce Dern and the Iconic Look of Black and White”. (Parade). http://parade.com/265496/scottneumyer/nebraska-director-alexander-payne-talks-bruce-dern-and-the-iconic-look-of-black-and-white/. 
  7. ^ “Calling all actors: 'Wilson' to begin filming this summer in Minnesota”. KARE. 2016年4月17日閲覧。
  8. ^ “Sundance Film Review 'Wilson'”. Variety. 2018年1月26日閲覧。

参考文献

CBR News staff (2011年4月13日). “Clowes is "Mister Wonderful"”. Comic Book Resources. 2012年5月28日閲覧。
Hartlaub, Peter (2010年5月18日). “Daniel Clowes' 'Wilson' draws from darker side”. San Francisco Chronicle: p. E-1. http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2010/05/17/DD8S1DEFP2.DTL 2012年5月28日閲覧。 
Lipsyte, Sam (2010年7月2日). “Dyspeptic Living”. The New York Times. https://www.nytimes.com/2010/07/04/books/review/Lipsyte-t.html 2012年5月11日閲覧。 
(Weldon, Glen) (2010年4月30日). “The Life And Trials Of A Full-Tilt Cartoon Misanthrope”. National Public Radio. https://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=126373523 2012年5月11日閲覧。 
Kit, Boris (2015年5月27日). “Woody Harrelson's Comic Adaptation 'Wilson' Comes Together With Laura Dern Co-Starring (Exclusive)”. The Hollywood Reporter. http://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/woody-harrelsons-comic-adaptation-wilson-798087 2015年6月6日閲覧。 

外部リンク

  • 版元ドローン&クォーターリーによるサンプルページ
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