イタリア共和国大統領(イタリアきょうわこくだいとうりょう、イタリア語: Presidente della Repubblica Italiana)は、イタリアの国家元首たる大統領である。
イタリア共和国 大統領 Presidente della Repubblica Italiana | |
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大統領旗 | |
官邸 | クイリナーレ宮殿(大統領府) |
任命 | イタリア議会上下両院合同会議 |
任期 | 7年 |
初代就任 | エンリコ・デ・ニコラ |
職務代行者 | 元老院議長 |
俸給 | 19,166 € |
ウェブサイト | Presidenza della Repubblica |
- イタリア共和国憲法制定以前 - 暫定国家元首(ざんていこっかげんしゅ、Capo provvisorio dello Stato)
- イタリア共和国憲法制定以降 - イタリア共和国大統領(きょうわこくだいとうりょう、Presidente della Repubblica Italiana)。
概要
大統領は概ね象徴的な元首だが、議会解散権、首相任命権、軍隊指揮権などの非常時大権(議会や内閣の助言によらずに独自の判断で行使できる権限)を持っているのが特徴的である。
任期は7年で、再選については特に規定がない。
選出
大統領は、議会の上下両院合同会議において、全議員と各州議会から任命された選挙人による秘密投票で選出される。
憲法の規定により、当選には3分の2の得票が必要である。しかし3回投票を行って当選者が決定しない場合は、4回目より単純過半数で当選者を決定する[1]。
第10代カルロ・アツェリオ・チャンピまでは、いずれの大統領も1期7年限りで退任していた。第11代のジョルジョ・ナポリターノも高齢のため再選には否定的だったが、2013年の総選挙後に起こった長期にわたる政局の混迷から、後継の大統領候補がことごとく当選に必要な票を得ることができず、その結果不本意ながらも大統領に再選されるに至った。しかしナポリターノは1年8か月後、89歳の身にはもはや限界と2期目の任期途中で大統領を辞任している。
権限
大統領の権限は憲法により次のように規定されている。
- 第74条
- 法律に署名する前に議会に再議を求めることができる。
- 第87条
- 議会に教書を送る。
- 議会議員の選挙を公示し、その招集の日を定める。
- 政府提出の法律案の議会への提出を承認する。
- 法律を審査し、法律の定める命令及び規則を制定する。
- 憲法の定めるところにより国民投票を公示する。
- 法律の定めるところにより国の官吏を任命する。
- 外交使節に信任を与え、これを接受する。また議会の事前の承認を得て国際条約を批准する。
- 軍隊を指揮し、法律の定めるところにより設置される最高国防会議を主宰する。また議会の承認を得て宣戦を布告する。
- 最高司法会議を主宰する
- 恩赦及び減刑をおこなう
- 栄典を授与する
- 第88条
- それぞれの議院の議長の意見を聞いて、一方の議院を、または両議院を同時に解散することができる。
歴代イタリア共和国大統領の一覧
代 | 氏名 | 所属政党 | 期 | 在任期間 | |
---|---|---|---|---|---|
イタリア共和国 暫定国家元首 | |||||
- | アルチーデ・デ・ガスペリ[2] Alcide De Gasperi | キリスト教民主主義 (DC) | - | 1946年6月12日 - 1946年7月1日 | |
- | エンリコ・デ・ニコラ Enrico De Nicola | イタリア自由党 (PLI) | - | 1946年7月1日 - 1948年1月1日 | |
イタリア共和国 大統領 | |||||
1 | エンリコ・デ・ニコラ[3] Enrico De Nicola | イタリア自由党 (PLI) | 1948年1月1日 - 1948年5月12日 | ||
2 | ルイージ・エイナウディ Luigi Einaudi | 1948年5月12日 - 1955年5月11日 | |||
3 | ジョヴァンニ・グロンキ Giovanni Gronchi | キリスト教民主主義 (DC) | 1955年5月11日 - 1962年5月11日 | ||
4 | アントニオ・セーニ Antonio Segni | 1962年5月11日 - 1964年12月6日[4] | |||
代行[5] | (チェーザレ・メルザゴラ) Cesare Merzagora | キリスト教民主主義 (DC) | 1964年12月6日 - 1964年12月29日 | ||
5 | ジュゼッペ・サーラガト Giuseppe Saragat | イタリア民主社会党 (PSDI) | 5 | 1964年12月29日 - 1971年12月29日 | |
6 | ジョヴァンニ・レオーネ Giovanni Leone | キリスト教民主主義 (DC) | 6 | 1971年12月29日 - 1978年6月15日[6] | |
代行[5] | アミントレ・ファンファーニ Amintore Fanfani | 1978年6月15日 - 1978年7月9日 | |||
7 | アレッサンドロ・ペルティーニ Alessandro Pertini | イタリア社会党 (PSI) | 7 | 1978年7月9日 - 1985年6月29日[7] | |
代行[5] | フランチェスコ・コッシガ Francesco Cossiga | キリスト教民主主義 (DC) | 1985年6月29日 - 1985年7月3日 | ||
8 | 1985年7月3日 - 1992年4月28日[8] | ||||
代行[5] | ジョヴァンニ・スパドリーニ Giovanni Spadolini | イタリア共和党 (PRI) | 1992年4月28日 - 1992年5月28日 | ||
9 | オスカル・ルイージ・スカルファロ Oscar Luigi Scalfaro | キリスト教民主主義 (DC) | 1992年5月28日 - 1994年1月18日 | ||
(9) | 無所属[9] | 1994年1月18日 - 1999年5月15日[7] | |||
代行 | (ニコラ・マンチーノ) Nicola Mancino | 左翼民主主義者 (DS) | 1999年5月15日 - 1999年5月18日 | ||
10 | カルロ・アツェリオ・チャンピ Carlo Azeglio Ciampi | 無所属 | 10 | 1999年5月18日 - 2006年5月15日[7] | |
11 | ジョルジョ・ナポリターノ Giorgio Napolitano | 左翼民主主義者 (DS) | 11 | 2006年5月15日 - 2007年10月27日 | |
(11) | 無所属[10] | 2007年10月27日 - 2013年5月15日 | |||
12 | 2013年5月15日 - 2015年1月14日[11][12] | ||||
代行 | (ピエトロ・グラッソ) Pietro Grasso | 民主党 (PD) | 2015年1月14日 - 2015年2月3日 | ||
12 | セルジョ・マッタレッラ[13] Sergio Mattarella | 無所属 | 13 | 2015年2月3日[14][15] - 2022年1月30日 | |
14 | 2022年1月30日 -現職 |
脚注
- ^ “イタリア大統領選、8回目の投票で決着 現職マッタレッラ氏が再選”. 朝日新聞社. 2022年1月30日閲覧。
- ^ 首相兼任。
- ^ 暫定国家元首よりスライド就任。イタリア共和国憲法経過規定第1条より。
- ^ 脳血栓による加療のため、任期満了前に辞任。
- ^ a b c d 憲法の規定により、元老院議長が代行(兼任)。
- ^ ロッキード事件の疑惑により、任期満了前に辞任。
- ^ a b c 早期の職務移譲を行うため、任期満了前に辞任。
- ^ 弾劾動議が発議されたため、任期満了前に辞任。
- ^ DCの解党に伴い。
- ^ DSが参画した民主党(DP)には参加しなかった。
- ^ 高齢のため、任期満了前に辞任。
- ^ イタリア:ナポリターノ大統領が辞任-政権は困難に直面も bloomberg (2015年1月14日)
- ^ . bloomberg.co.jp (ブルームバーグ). (2015年1月31日). オリジナルの2015年2月5日時点におけるアーカイブ。 2015年2月5日閲覧。
- ^ “イタリア新大統領が就任 元国防相マッタレッラ氏”. nikkei.com (日本経済新聞). (2015年2月3日) 2015年2月5日閲覧。
- ^ “イタリア新大統領、マッタレッラ氏就任 「マフィアや汚職と戦う」”. sankei.com (産経新聞). (2015年2月3日) 2015年2月5日閲覧。
関連項目
外部サイト
- Presidenza della Repubblica(大統領府公式サイト)(イタリア語)