アレクサンドル・"アレック"・セカレアヌ(Alexandru "Alec" Secăreanu ルーマニア語発音: [alekˈsandru sekəɾeˈanu]、1984年12月4日 - )はルーマニアの俳優。母語のルーマニア語のほか、英語に堪能で、フランス語も話せる[1]。
略歴
1984年12月4日にルーマニアの首都ブカレストで生まれる[2]。2007年に(ブカレスト国立イオン・ルーカ・カラジアーレ映画舞台芸術大学)を卒業し、短編映画やテレビドラマなどに出演するようになる[3]。
2015年末にはチャック・パラニュークの小説『ファイト・クラブ』を原作とした舞台劇で主人公タイラー・ダーデンを演じて知名度を上げる[4]。
2017年のイギリス映画『ゴッズ・オウン・カントリー』で演じた同性愛者のルーマニア人季節労働者ゲオルゲ役で、(第20回英国インディペンデント映画賞)の(主演男優賞)にノミネートされる[5](受賞はならず)など、高い評価を得て国際的に知られるようになる[3]。この役は6ヶ月に及ぶオーディションの末に獲得した[6]。同作でルーマニア語のセリフはごくわずかでストーリー上は全く重要ではなく、訛りのある英語を話せる俳優であればルーマニア人である必要はなかったが、(フランシス・リー)監督はルーマニア人俳優の起用にこだわり、ルーマニアのキャスティングディレクターから提示された40名以上の候補者のうち13名ほどとブカレストで直接面談、その後、ジョニー役の(ジョシュ・オコナー)との相性を見るために、選考に残った3人がロンドンに渡り、最終的にセカレアヌに決まった[3][4]。この役柄について同性愛への差別や偏見が根強く残る母国ルーマニアでのインタビューにおいて「ホモフォビアな社会で育ったことはわかっているが、オープンマインドな両親でラッキーだった。両親は映画を観て気に入ってくれている。」と語っている[3]。
2020年のイギリス映画『(バイク泥棒)』では、『ゴッズ・オウン・カントリー』でのセカレアヌの演技を「次世代のロバート・デ・ニーロ」と高く評価した(マット・チェンバーズ)監督が、外国人移民である主人公にセカレアヌの起用を決め、その時点で主人公をルーマニアからの移民に設定した。その後、監督はセカレアヌを中心にして移民の特徴や家族構成などを決めていき、セカレアヌと妻役に決まったアナマリア・マリンカの2人と何度も話し合い、リハーサルを重ねて脚本を練り上げていった。なお、ルーマニア語のセリフの言い回しやイディオムはセカレアヌに教わったとのことである[7]。
主な出演作品
- ゴッズ・オウン・カントリー God's Own Country (2017)
- (バティスト〜アムステルダムに潜む闇〜) Baptiste (2019) ※テレビシリーズ、5エピソードに出演
- (悪魔がみている) Amulet (2020)
- アンモナイトの目覚め Ammonite (2020)
- (バイク泥棒) The Bike Thief (2020) ※第33回東京国際映画祭にて初上映[8]
出典
- ^ a b “Alec Secareanu - Actor” (英語). CASTFORWARD. 2022年4月18日閲覧。
- ^ a b “Alexandru Secareanu” (ポーランド語). Filmweb. 2022年4月18日閲覧。
- ^ a b c d Cheroiu, Alexandra (2017年11月22日). “INTERVIU Alec Secăreanu, zilier român gay în „God's Own Country“: Ştiu că am crescut într-o societate homofobă, dar am avut noroc de părinţi deschişi la minte” (ルーマニア語). adevarul.ro2022年4月18日閲覧。
- ^ a b Barca, Evantia (2016年7月9日). (ルーマニア語). EraNews.ro. オリジナルの2017年11月7日時点におけるアーカイブ。2022年4月20日閲覧。
- ^ Clarke, Stewart (2017年11月1日). “‘Lady Macbeth’ Tops Nominations for British Independent Film Awards” (英語). Variety 2022年4月18日閲覧。
- ^ “映画『ゴッズ・オウン・カントリー』舞台はヨークシャーの牧場、2人の男性の間に愛が生まれる瞬間”. ファッションプレス. (2019年1月29日)2022年4月21日閲覧。
- ^ 稲田隆紀 (2020年11月5日). “移民排斥、不平等や貧困、今のイギリスは世界が抱える問題の先頭にいるかもしれない『バイク泥棒』公式インタビュー:マット・チェンバーズ(監督/脚本)”. 東京国際映画祭公式インタビュー 2020年11月4日. 第33回東京国際映画祭. 2022年5月9日閲覧。
- ^ “バイク泥棒”. 第33回東京国際映画祭. 2022年4月18日閲覧。