アカククリ(学名:Platax pinnatus)は、マンジュウダイ科に属する魚の一種[1]。和名は幼魚の体色に由来する。
形態
体長45cm[2]。成魚と幼魚では姿が全く異なる。成魚と幼魚ともに体型は側扁し、成魚の体型は背鰭と臀鰭が発達した三角形から円盤状へと変化していく。成魚の体色は銀色で、体側面前方に二本、体側面後方に一本、尾鰭前部に一本暗い茶色の帯が入るが、成長とともに薄れる[3][4]。吻部、腹鰭前部、胸鰭、背鰭上部と臀鰭下部、尾鰭中央部は黄色[4]。背鰭上部、臀鰭下部、尾鰭後部は黒く縁どられる。また同属他種に比べ、成魚は吻部が突出する[3]。口内は黒い[3]。同属のツバメウオとは、腹鰭が黄色いことで見分けられる。幼魚は成長とともに背鰭、臀鰭、腹鰭が伸長する[3][5]。幼魚の体色は全体的に黒く、頭部、背鰭、尾鰭、臀鰭、腹鰭は橙色で縁どられる[3][4][5]。この体色は有毒のヒラムシに擬態していると考えられている[3][4]。背鰭の棘条は5-6本、背鰭の軟条は34-37本。臀鰭の棘条は3本、臀鰭の軟条は24-28本[2]。
生態
アンダマン海、ペルシア湾、オーストラリア北部、メラネシア地域、フィリピンなどインド西太平洋に分布し、日本でも琉球列島以南でよく見られる[2][2][6]。黒潮に乗った個体が稀に本州で見られることもある。単独または数匹で、珊瑚礁の斜面などの水深15-30m域で生活する[4][6]。稀に大規模な群れを作る。卵生であり、外洋で繁殖する[5]。幼魚はマングローブ林や岩や珊瑚の陰で、単独で生活する[7]。横向きになって泳ぐことがある。藻類やクラゲ、動物プランクトンを捕食する[7]。
人間との関係
稀に漁獲され、食用となる[8]。幼魚は観賞用として販売されるが、飼育は難しい。
脚注
- ^ “WoRMS - World Register of Marine Species - Platax pinnatus (Linnaeus, 1758)”. www.marinespecies.org. 2023年5月7日閲覧。
- ^ a b c d Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2022). "Platax pinnatus" in FishBase. September 2022 version.
- ^ a b c d e f 中坊(2018).
- ^ a b c d e “Platax pinnatus”. fishesofaustralia.net.au. 2023年5月7日閲覧。
- ^ a b c “All about Shaded Batfish - Platax Pinnatus” (英語). Diving liveaboard in Thailand and Myanmar. 2023年5月7日閲覧。
- ^ a b News, Opening Hours 10am-5pm Mon-Sun10am-9pm WedClosed Christmas Day Address 1 William StreetSydney NSW 2010 Australia Phone +61 2 9320 6000 www australian museum Copyright © 2023 The Australian Museum ABN 85 407 224 698 View Museum. “Longfin Batfish, Platax pinnatus (Linnaeus, 1758)” (英語). The Australian Museum. 2023年5月7日閲覧。
- ^ a b Australia, Atlas of Living. “Species: Platax pinnatus (Longfin Batfish)” (英語). bie.ala.org.au. 2023年5月7日閲覧。
- ^ “ぼうずコンニャクの市場魚介類図鑑 アカククリ”. ぼうずコンニャク. 2022年9月24日閲覧。